常温核融合の技術開発の展望
                                                 2011年8月10日



  常温核融合は、再現性が乏しい、発熱量が明確でない、という理由で、測定ミスや思い違いや意図的な詐欺として、他のニューエイジ・サイエンスと同じように扱われてきたが、れっきとした物理法則にのっとった技術である。(* 他に、有望な新技術として、カシミール効果(純粋に量子力学の原理による)、および、 メタ・マテリアルが挙げられるが、効果は微弱であり、用途は限られたものとなる)
  ただし、核融合が高いエネルギー障壁をどのように通って起こるかのメカニズムが 現在のところ全く不明なため、一部を除いたどの研究機関や企業も、通常の技術としての本格的な研究開発を開始するのに消極的であり、マスコミも国もほとんど反応がないのが現状である。


  2011年3/11の東日本大震災による原発事故のため、日本の全発電力の3割を占める原子力に頼る政策を大幅に軌道修正せざるを得なくなった。火力発電用燃料の天然ガスの供給は、供給不安が懸念されるサハリンUの他に、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州におけるシェール・ガスの大規模な天然ガス田開発が、一部韓国とも協力(10%投資)で着手されている。(三菱商事、プロジェクト10 9月〜) しかし、長期的に見れば、資源は枯渇の一方で、排出ガス等の影響も懸念されている。

  太陽光発電、風力発電、地熱・波力・潮力発電等の代替エネルギーは、規模が小さく、広大な土地が必要で、コストが高い(風力、地熱発電は、原子力発電の約3倍、太陽光発電は約9倍のコストがかかる)ので、それらの用途は限られたものになる。


  日本国近海の海底に埋蔵している メタン・ハイドレート(*)は、日本が輸出国になる可能性があるほど 充分大量に存在する。 にもかかわらず、韓国と米国の圧力により、現在マスコミにほとんど話題にされなくなっている。(**)
  ・ 8/2 経済産業省は、愛知県の渥美半島沖の海底で商業化に向けた産出試験に着手し、来年1〜2月に産出用と観測用の井戸を掘削を決定。2012年度に海上へ採取する試掘作業を行う。産出試験を実施するのは、渥美半島沖70〜80キロの海域で、水深は約1000メートル。(by.時事通信

  *  メタンガスは深海のような低温・高圧の条件下で、氷の水分子と結合して水和物となり、固体のメタン・ハイドレート(いわば、”燃える氷”、火をつければ燃える)となる。日本海海底(水深1000−2000m)の地震多発地帯では、地下から噴気孔を通して大量のメタンが噴出し、海底に大量のメタン・ハイドレートが出来ているので、世界的に見ても石油に取って代わるほどの埋蔵量であり、有望なエネルギー資源として注目されている。(ただし、採取には石油、石炭などよりはるかにコストがかかるといわれる)
  (by. 松本良 東大教授・化学堆積学、読売新聞07 7/30夕)

  ** 韓国による日本のTV局買収は、フジテレビで30%もあり、(この割合は”放送法”に違反!している) 放送内容に”韓流”が増えている。今、落ちていないのは、日本テレビのみ(社長がクリスチャン、VIP会員) (・ 韓国は、鬱陵島近くの海底には大量のメタンハイドレートがあるので騒いでいる。ただし、メタンハイドレートはかなりの危険物であり、韓国、中国がそれを掘り出すと爆発事故が多発すると予想される。)



  一方、常温核融合は、技術的な研究開発が始まったばかりであるが、10年後の先を見るならば、きわめて有望なエネルギー源となることが予想される。(* 実際 インドでは国を挙げての開発に取り組む計画がある。イタリアでは、すでに、下記の ”荒田方式”の実験セットまで販売されている。)


  常温核融合の優位性を示す特徴として、

  @ 燃料が 重水素、あるいは、水素であるため、資源はほとんど無尽蔵に存在する

  A 放射能が残らず、放射線がほとんど出ない(23MeV程度のγ線で、数cmの鉄板でほとんど止まる)

  B 核分裂反応のような、それを超えると連鎖反応が起こって暴走するというような”臨界質量”というものが無いので、大爆発等の危険が無い

  したがって、たとえ大地震が来て設備が壊れても、そのまま停止する。(cf. 原子炉は”冷温停止”にするために水冷システムを電力を使って稼動させなければならない。それが壊れたため、いつまでも核分裂して発熱・メルトダウンし、放射性物質をあたりに撒き散らす、というのが今回の福島原発の大事故である。)


  一方、現在のところ、常温核融合の問題点として、

  @ 反応を促進させるための触媒の寿命が短い

  A 発熱量がまだまだ少ない

  B 理論的な裏づけがほとんど未整備なので、核融合装置の設計や制御方法などを すべて実験的に確立する必要があること

  C このため、かなり長期にわたる研究開発期間と投資が必要であること。今からスタートしないと10年先には間に合わないかもしれない。

などが挙げられる。


  2008年5/22の 荒田吉明 阪大名誉教授の実験では、(北大・水野教授の実験と同様に、)明らかに測定値を確認できるほどの温度上昇が認められた。
  ステンレス製圧力容器に パラジウムと酸化ジルコニウムの合金(ZrO2・Pd、24.4gを含んだ超微細金属粒子内に重水素ガスを注入して、発生した低エネルギーのγ線による高熱(200〜300℃、50時間持続)の発生を認め、また、ヘリウムを検出した。(No1No2) この実験は、荒田教授によって公開実験が行われ、毎日、朝日、日経、日刊工業新聞、NHKなどマスコミも多数参加する中で行われた。
                          +   →  He

  反応が 数十分〜数十時間で止まってしまう原因は、触媒中に α粒子(ヘリウム)が溜まり充分入れ替わらない事、あるいは、局所的な高温のため 触媒が溶けてしまいその触媒機能を失う事による。
  触媒 + 超音波励起式は、イスラエルでも試みられている。
  この発明者は荒田教授。ただし、触媒のノウハウ等の具体的な詳細は 中国人研究員が握っている。(ニューエネルギー・タイムズ 2008 5/22
  この溜まった He を充分抜き出し(あるいは、連続的に触媒を入れ替え)、触媒の寿命を改善することができれば、連続的にいくらでもエネルギーを取り出すことができるはずである。

  右翼団体のリチャード・コシミズ氏は一時この技術を支持していたが現在は放棄している。また、中国は、このような”基礎技術開発”というものを行なわない国である。
  したがって、早期から、日本国が主体となって、この常温核融合の技術を立ち上げていかなければならない。

  



      * 大阪大学名誉教授 荒田氏の特許:





(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2008−261868(P2008−261868A)
(43)【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
(54)【発明の名称】超高密度重水素化ナノ粒子を用いる核融合による多量の発熱及びヘリウムの造出方法並びにその装置
(51)【国際特許分類】
G21B 3/00 (2006.01)
B82B 1/00 (2006.01)
C01G 55/00 (2006.01)
【FI】
G21B 1/00 Y
B82B 1/00
C01G 55/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2008−123825(P2008−123825)
(22)【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
(62)【分割の表示】特願2002−293036(P2002−293036)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成14年3月28日 日本学士院発行の「日本学士院紀要 平成14年 第78巻B 第3号」に発表
(71)【出願人】
【識別番号】593002632
【氏名又は名称】荒田 吉明
【住所又は居所】兵庫県神戸市東灘区御影町郡家字庄の元247
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】荒田 吉明
【住所又は居所】兵庫県神戸市東灘区御影町郡家庄ノ元247番地
(72)【発明者】
【氏名】藤田 廣志
【住所又は居所】大阪府茨木市山手台5丁目12番22号
(72)【発明者】
【氏名】ツァン ヨー−チャン
【住所又は居所】中華人民共和国上海市七▲しん▼路3333号11区27号102室
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048 AA01 AB01 AC08 AE05


(57)【要約】
【課題】超高密度重水素化ナノ粒子を用いる核融合反応により、多量の発熱とヘリウムとを造出する方法、及びその装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、金属ナノ超微粒子に重水素を固溶させ、かつ、重水素の凝縮体を形成させることにより原子比(重水素/金属)200%以上の超高密度重水素化ナノ粒子を得、次いで、該粒子及び/又は上記重水素凝縮体にエネルギーを加え、核融合反応を惹起せ、多量の発熱とヘリウムとを造出する。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱およびヘリウムを発生させる方法であって、
金属ナノ超微粒子に重水素原子を固溶させることにより、原子比(D/Pd)が250%以上である超高密度重水素化ナノ粒子を反応容器内に形成する工程と、
振動子が浸かるように、重水(D20)を伝導媒体として該反応容器内に注入する工程と、
超音波エネルギーを該振動子の端面から該伝導媒体を介して該超高密度重水素化ナノ粒子に加えることにより、熱およびヘリウムを発生させる工程と
を包含し、
該金属ナノ超微粒子は、支持体としてZrO2を用い、該支持体に平均径5nmの金属(Pd)ナノ超微粒子を埋め込むことによって、「埋め込み型」の金属ナノ超微粒子(アトム・クラスター)として作製されたものである、方法。
【請求項2】
熱およびヘリウムを発生させる装置であって、
金属ナノ超微粒子に重水素原子を固溶させることにより形成された原子比(D/Pd)が250%以上である超高密度重水素化ナノ粒子が内部に配置された反応容器と、
該反応容器内に配置された振動子であって、伝導媒体としての重水(D20)に浸かるように配置された振動子と
を備え、
該装置は、超音波エネルギーを該振動子の端面から該伝導媒体を介して該超高密度重水素化ナノ粒子に加えることにより、熱およびヘリウムを発生させるように構成されており、
該金属ナノ超微粒子は、支持体としてZrO2を用い、該支持体に平均径5nmの金属(Pd)ナノ超微粒子を埋め込むことによって、「埋め込み型」の金属ナノ超微粒子(アトム・クラスター)として作製されたものである、装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人類が求めている安全で、しかも資源の永久性が保証される新エネルギー、及び有用ではあるが存在率が極めて少ないヘリウムガスを量産する方法、並びに該方法により得られ新エネルギーとヘリウムの提供に関するものである。更に、この発明は、エネルギー理工学をはじめ、材料理工学、冷媒工学、航空工学等々の広分野における新しい科学と技術の発展、また、人類が存続するためのあらゆる活動、ひいては地球環境の保全に計り知れないほど寄与する。
【背景技術】
【0002】
従来のエネルギー開発は、化石燃料、水力、原子力、風力、水素、太陽エネルギーなどを用いて行われてきた。しかし、これ等は、いずれも資源、環境、効率等に係る深刻な問題を抱え、その将来性は憂慮されている。一方、新しいエネルギーとして超高温核融合が試みられてはいるが、現時点では、その実用化への道は未だ遠い。また、近年、パラジウム(Pd)を用いた電気分解によるエネルギー開発の研究も行われてはいるが、そのほとんどが疑問視されており、その中で本発明者らが唯一成功した超微粒子のPdブラックを用いるDS−カソード(WO95/35574)、及び金属ナノ粒子を用いた上記カソード(Proceedings of the Japan Academy,Vol.78,Ser.B,No.3,pp.57−62,2002)においてさえ効率が悪く、工業化は不可能な実情にあった。更に、発明者らは、超音波エネルギーによるバル
ク(金属塊)やフォイル(金属箔)への重水(D2O)のインプランテーションとそこでの核融合反応の誘導を試みたが、発熱効率が極めて低く、実用化は不可能であった(Proceedings of the Japan Academy,Vol.78,Ser.B,No.3,pp.63−68,2002)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この発明は、金属ナノ超微粒子及び2次元金属ナノ粒子に相当する表面層(以下、これ等の両者を「アトム・クラスター」と総称する)が、従来のバルク(金属塊)やフォイル(金属箔)とは異質の機能あるいは挙動を呈するという知見の、核融合反応への意外かつ巧妙な応用と卓抜した創意に基づくものである。即ち、この発明は、従来のバルクやフォイルの踏襲使用下での条件の改変ではなく、上述したアトム・クラスターを用いる新規かつ斬新な諸条件の模索・選別・組合せ設定により完成された。
【0004】
また、この発明者らは、長年にわたる刻苦勉励と鋭意研究を重ねた結果、最も水素を吸収することが知られているパラジウム(Pd)でさえ、重水素の固溶度は高々原子比(重水素原子/金属原子)70〜80%であり、
100%を超えることは不可能であるとする従来の定説を覆した。しかも、驚くべきことに、水素ガスへの数億気圧に相当する加圧効果を、実用的な約0.3〜約100気圧の加圧下で実現すると共に、これを具に核融合反応に活用した。この発明は、かかる偉業と洞察に基づき完成された。
【0005】
尚、この発明によれば、次の(1)〜(11)が提供される:
(1)金属ナノ超微粒子又はその集団又は2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層に重水素を固溶させると共に、その各金属格子内に超高密度重水素の局所凝縮体を形成させ、これより得られる超高密度重水素化ナノ粒子、及び/又は該粒子又は前記表面層が吸蔵の上記重水素凝縮体に、エネルギーを加え、核融合反応を誘導するか惹起させることにより、多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(2)金属ナノ超微粒子、その集団、及び2次元金属ナノ超微子に相当する表面層が、パラジウム、チタン、ジルコニウム、銀等の金属群から選ばれる少なくとも1種の金属又は2種以上の金属の組合せで構成されている前(1)記載の多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(3)金属ナノ超微粒子(球形)、その集団、及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層(円形)が、埋め込み型の場合は、その平均径が、少なくとも該金属原子13個で構成される格子サイズから最大5nmまでの範囲にある前(1)又は(2)記載の多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(4)金属ナノ超微粒子(球形)、その集団、及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層(円形)が、孤立型の場合は、その平均径が、少なくとも該金属原子13個で構成される格子サイズから最大15nmまでの範囲にある前(1)又は(2)記載の多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(5)超高密度重水素化ナノ粒子、その集団、及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層が、少なくとも200パーセントの原子比(重水素/金属)で構成されるよう調整した前(1)〜(4)記載の多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(6)エネルギーが、超音波、強磁場、高圧、レーザー、レーザー爆縮、高密度電子ビーム、高密度電流、放電、化学反応のエネルギー源群から選ばれる少なくとも1種の衝撃エネルギー及び/又は定常エネルギーであって、該エネルギーの程度が核融合反応を惹起させる強度又は量である前(1)〜(5)記載の多量の発熱を得る方法、及びヘリウムを造出量産する方法。
(7)金属ナノ超微粒子又はその集団又は2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層に
重水素を固溶させると共に、その各金属格子内に超高密度重水素の局所凝縮体を形成させる手段、これより得られる超高密度重水素化ナノ粒子、及び/又は該粒子又は前記表面層が吸蔵の上記重水素凝縮体に、エネルギーを加え、核融合反応を誘導するか惹起させる手段、及び核融合反応容器を少なくとも具備することを特徴とする多量の発熱を得る装置又はシステム、ヘリウムを造出量産する装置又はシステム、及び発熱とヘリウムの両者を量産する装置又はシステム。
(8)前(1)又は(5)記載の超高密度重水素化ナノ粒子及び/又は該粒子又は2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層が吸蔵の重水素凝縮体に、エネルギーを加え、核融合反応を誘導するか惹起させる手段、及び核融合反応容器を少なくとも有することを特徴とする多量の発熱を得る装置又はシステム、ヘリウムを造出量産する装置又はシステム、及び発熱とヘリウムの両者を同時に量産する装置又はシステム。
(9)前(1)〜(6)記載の方法から選ばれる1つの方法、又は前記(7)又は(8)の装置により製造されるヘリウム。
(10)前(1)、(2)、(3)又は(4)記載の金属ナノ超微粒子とその集団並びに2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層。
(11)前(1)又は(5)記載の超高密度重水素化ナノ粒子とその集団並びに2次元金属ナノ超微粒子に相当する超高密度重水素化表面層。
【発明の効果】
【0006】
この発明に係る方法は、放射能の危険性がなく安全であり、かつ、資源の永久性が保証され、操業・保守ともに容易である。また、エネルギー創生と同時に、貴重なヘリウムガスが量産され、低廉なかたちで広く提供される。更に、この発明に係る核融合反応装置から噴出されるHeを含む反応ガスには、当然、蒸気に変換する必要はなく、ジェットガスとして直接、発電機や機械の駆動に用いることができる利点がある。特に、新規な、しかもクリーンエネルギーとして、人類の存続と地球環境の保全に対し、計り知れない恩恵と至上の福音をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
金属ナノ超微粒子:この明細書に記載の用語「金属ナノ超微粒子」は、「金属ナノ超微粒子とその集団」及び「2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層」をも併せて意味し、また、該粒子の別称として「アトム・クラスター」と表記することがある。金属ナノ超微粒子(球形)及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層(円形)の平均径は、少なくとも該金属原子13個で構成される格子サイズから、埋め込み型の場合は最大5nmまで、孤立型の場合は最大15nmまでの範囲にある。該粒子は、パラジウム、チタン、ジルコニウム、銀等の金属群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成される。尚、2種以上の金属は、これ等の各金属ナノ超微粒子が混合又は共存した形、あるいはこれ等の金属原子が混在する合金の形で用いることができる。
【0008】
ところで、物質を細分化していくと、ある臨界サイズ以下になったとき、急速にその物性に変化が生じる。アトム・クラスターは、このように物性が急変した原子集団に対する称呼である(Materials Transaction,JIM,Vol.35,No.9,pp.563−575,1994)。尚、物性の急変とは、例えば、4原子からなる格子を想定すると、あたかも木製の非弾性格子がバネ製のそれに変化したときに見られる物性、即ち、原子間の結合に弾性が生じる現象であると認識される。この発明では、超微細分により物性が急変下の金属粒子あるいは金属結晶格子、及び金属表面層を、後述する超高密度重水素化ナノ粒子の作製に正に有効な材料として、即ち、前述した金属ナノ超微粒子あるいは2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層として用いる。
【0009】
金属ナノ超微粒子は、アモルファス合金の酸化法、例えば、Zr65・Pd35アモルファス合金の酸化により、平均径が約5nmのZrO2・Pdのかたちで製造することができる。その詳細は、特開2002−105609に記載されている。また、蒸着法によっても調製することができる。その詳細は、Materials Transaction,JIM,Vol.35(前述)に記載されている。
【0010】
この発明によれば、金属ナノ超微粒子は、互いに接触することなく粒子ごとに独立した状態で支持体に埋め込まれた「埋め込み型」、又は互いに接触することなく粒子ごとに独立し状態で液体、気体、基盤等に分散させた「孤立型」により使用される。埋め込み型での上記粒子の平均径は、少なくとも該金属原子13個で構成される格子サイズから最大5nmまでの範囲であり、孤立型での前記粒子の平均径は、少なくとも該金属原子13個で構成される格子サイズから最大15nmまでの範囲が必要である。尚、この発明に係る金属ナノ超微粒子(アトム・クラスター)及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層は、核融合反応用材料として単独で提供あるいは市販することができる。
【0011】
超高密度重水素化ナノ粒子:この明細書に記載の用語「超高密度重水素化ナノ粒子」は、「超高密度重水素化ナノ粒子とその集団」及び「2次元超高密度重水素化ナノ粒子に相当する超高密度重水素化表面層」をも併せて意味する。前述の金属ナノ超微粒子(アトム・クラスター)及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する表面層をホストとして用いることにより、原子比(重水素原子数/金属原子数)200%以上の重水素原子を固溶させることが可能となる。この発明では、例えば、加圧下で平均径5nm以下の埋め込み型アトム・クラスターに重水素を吸蔵させる。かかる加圧により、10気圧以下で原子比250%以上、また、100気圧で原子比約300%の重水素を固溶させ、金属結晶格子内の局所に容易に超高密度重水素の凝縮体を形成させることが可能であり、これにより、超高密度重水素化ナノ粒子を得ることができる。かかる重水素凝縮体の形成は、その重水
素2原子の核間隔を核融合が可能な0.25Å以下に縮めるために行い、該重水素凝縮体は、数億気圧を負荷した重水素ガスに相当する加圧効果(正確には原子比400%の場合)を受けていると概算される。尚、重水素は市販のものを用いることができる。また、この発明に係る超高密度重水素化ナノ粒子とその集団、及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する超高密度重水素化表面層は、核融合反応用材料として単独で提供あるいは市販することができる。
【0012】
エネルギー:ここでいう「エネルギー」とは、衝撃エネルギーと定常エネルギーの両者を併せて意味する。超高密度重水素化ナノ粒子とその集団、及び2次元金属ナノ超微粒子に相当する超高密度重水素化表面層への負荷エネルギーの手段あるいはエネルギー源として、超音波、強磁場、高圧、レーザー、レーザー爆縮、高密度電子ビーム、高密度電流、放電、化学反応等を用いることができる。これ等のエネルギーは、単独又は2種以上を組合せて用いることができる。尚、超音波を使用の場合には、そのエネルギーを核融合反応体に伝導させるための伝導媒体が必要であり、これには、例えば、D2O(市販)やH2O等を用いることができる。また、加えるエネルギーの程度として、例えば、超音波では300ワットで19kHzの強度の様に、核融合反応を誘導するか惹起させるだけの強度
あるいは量が必要である。
【0013】
核融合反応の装置及びシステム:基本的には、核融合反応体を収納する核融合反応容器、核融合反応制御の手段、上記の反応体に衝撃エネルギー及び/又は定常ネルギーを加え核融合反応を誘導するか惹起させる手段、発熱利用の手段及び/又はヘリウム採取の手段を具備した装置やシステムが推奨される。また、かかる装置やシステムが具備する上記の基本手段は、適宜、必要に応じて追加及び/又は省略することができる。例えば、図1に示す超音波励起核融合反応装置を用いることができる。尚、図1の符号部位の名称はそれぞれ、反応容器1、核融合反応体2、超音波振動子3、超音波伝導媒体4、真空排気口5、ガス(D2やH2等)注入口6、媒体(D2OやH2O等)注入口7、及びタービン発電機の駆動用ガス取出口8である。この場合、排出ガスは、タービン発電機駆動の動力源
とヘリウム源の両者に利用することができる。
【0014】
また、この発明に係る核融合反応の装置及びシステムは、発電、電池、暖房、冷房等々の手段あるいはこれ等への用途として、従来では実用化ができなかった小型化や携帯化が可能である。
【0015】
発熱:核融合反応の容器中で生成される高温高圧ガスは、ジェットガスして、蒸気や位置エネルギー等に変換することなく、タービン発電機や機械の駆動動力源に用いることができる。更に、水力、火力、風力、石炭、石油、原子力等の代替えエネルギーとして、また、地球環境の再生と保全を可能にするクリーンエネルギーとして、あらゆる分野で実用に供することができる。
【0016】
ヘリウムの採取:核融合炉内で生成されたヘリウムは、他の混在ガスが約50K付近で液化あるいは固化するので、共存する不純ガスを極低温で冷却液化又は固化することにより除去し、気体として量産採取することができる。また、上記不純物を精製用カラムに吸着させ除去することにより、採取することも可能である。尚、この発明により生産されるヘリウムは、衆知の用途、例えば、溶接用保護ガス、気球用充填ガス、放電管用封入ガス、潜水用人工空気等々に用いることができる。また、大量かつ低廉であるので、新規な用途の開発をも促す。
核融合反応に用いる元素:原子番号が4以下の元素とその同位元素が使用できる。また、これ等のうち取扱いの容易さを考慮すると、重水素(D)単体、及び重水素と水素あるいはトリチュウム(T)の使用が好ましい。更に好ましくは、安全性を考慮すると、次のDD核融合反応:
2D+2D=4He+格子エネルギー(23.8MeV)
は、中性子を生じず核融合反応それ自体が緩和であるので、後述するDD反応に比べ優れて望ましい。従って、環境保全の観点から、この発明が初めて可能にした、前述の超高密度重水素化ナノ粒子あるいは超高密度重水素化ナノ粒子を用いるDD反応の諸条件下での重水素(D)の単独使用が推奨される。しかし、D原子の超過激な衝突により3Hと中性子とを放出する衆知のDD核融合反応は、非常に危険であるので、産業上利用及び環境保全の観点から望まれない。
【0017】
以下、実施例を上げ、この出願の発明の構成、作用、及び効果につき、具体的に説明する。但し、この出願の発明は、以下に示す実施例にのみ、限定されるわけではない。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
核融合反応:先ず支持体としてジルコニア(ZrO2)を用い、この支持体に平均径5nmの金属(Pd)ナノ超微粒子を埋め込み、いわゆる、埋め込み型の金属ナノ超微粒子(アトム・クラスター)を作製した。このアトム・クラスターを、図1に示す核融合反応装置にかけ、多量の発熱とヘリウムとを生成させた。即ち、図1に示すように、反応容器1の内側底部2に挿入した上記アトム・クラスターに重水素(D2)を注入の後、加圧によりこれを吸蔵させることにより、先ず核融合反応体(超高密度重水素化ナノ粒子)2を調製した。次いで、超音波振動子3の作動による衝撃エネルギーを、超音波伝導媒体(D2O)を通して核融合反応体2に加えることにより、核融合反応を行った。 以下、上記操作の手順を詳述する。
【0019】
操作I:反応炉容器内に3.5gの前述Pdアトム・クラスターを挿入した後、真空排気口5から高真空(10−7Torr)に排気しながら150℃で焼きだしを行った。
【0020】
操作II:重水素(D2)ガスを注入口6から一定速度(20cc/min)で導入することにより、容器内圧を約10気圧にし、このガスを核融合反応体のPdアトム・クラスターの中にD原子の状態で固溶させ、かつ、凝縮体を形成させることにより、
原子比(D/Pd)250%以上からなる超高密度重水素化ナノPd粒子を得た。尚、固溶原子の量は、注入ガス流速と反応容器内のガス圧上昇までの時間の両者から算出した。
【0021】
操作III:重水(D2O)を図1に示すように、振動子3が十分に浸かるよ
う、注入口7から反応容器内に注入した。
【0022】
操作IV:振動子3の端面から超音波エネルギーを、伝導媒体4を通して核融合反応体2に与えた。
【0023】
以上の条件下で発生した反応容器内のガスにつき、四重極質量分析計(QMS:quadrupole mass spectrometer)により分析した。また、操作IVでの反応終了後の試料を取出し、これを上記QMSの試料容器内で約1,300℃に加熱し、発生したガスを前述と同様に質量分析した。
【0024】
その結果を図2と図3に示す。尚、図3(a)と(b)におけるMass number M2(=D)、M3(=DH)であり、図3(a)の極めて多量のM4はHeを、これに対し、図3(b)のM4はD2をそれぞれ表す。尚、図3(c)はM4のスペクトル表示であり、時間経過と共にD2は消滅し、Heのみが残留することを示している。特筆すべきは、図3(a)におけるM4(=He)は桁違いに多く、アトム・クラスターに吸蔵されていた超高密度重水素がほとんど変化し放出されたことを示している。これに対し、図3(b)では、反応終了後のアトム・クラスターにはHeとDがほとんど存在しないことを示している。
【0025】
操作IIIでの重水素(D2)ガスの注入時に、化学反応エネルギーとして約40kJ/molを放出し、反応容器外壁でわずかな温度上昇が検出された(図2の曲線A)。また、図2の曲線Bに示すように、操作IVでの超音波処理に伴い、反応容器外壁表面の温度が急激に上昇し、特異的な温度特性が見られた。このことは、核融合反応が約10分間、継続したことを意味する。その際、媒体D2Oがほとんど気化しており、D2又はDに分解し、反応容器内は高温・高圧状態になり、核融合反応のすさまじさを示している。以上の知見に基づき、生じた核融合反応は、
2D+2D=4He+格子エネルギー(23.8MeV)であると判断された。
【0026】
尚、前述した操作IIにおいて、原子比(D/Pd)が200%未満、即ち、多量の重水素を吸蔵しない重水素化ナノPd粒子を調整し、これを操作III及びIVに供した場合には、媒体D2Oは気化蒸発することなく、ほぼ残存することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】超音波励起核融合装置の原理を示す概略縦断面図である。
【図2】超高密度重水素化Pdアトム・クラスターの超音波負荷による経時的な発熱の変化を示す図である。曲線Aは、超音波処理前の重水素ガス注入時の化学反応熱、Bは超音波負荷時の発熱の時間経過を各々示す。
【図3】(a)と(c)は、核融合反応により生じた反応容器内部の反応ガスにつき、QMSを用いて質量分析した結果を示す図である。(b)は上記反応終了後に反応容器から試料を取出し、QMSの試料容器内で約1,300℃に加熱し、発生したガスを上記と同様に質量分析した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 核融合反応容器
2 核融合反応体
3 超音波振動子
4 超音波伝導媒体
5 真空排気口
6 ガス(D2ガス)注入口
7 伝導媒体(D2O)注入口
8 タービン発電機駆動用のガス取出し口


【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】超音波励起核融合装置の原理を示す概略縦断面図である。
【図2】超高密度重水素化Pdアトム・クラスターの超音波負荷による経時的な発熱の変化を示す図である。曲線Aは、超音波処理前の重水素ガス注入時の化学反応熱、Bは超音波負荷時の発熱の時間経過を各々示す。
【図3】(a)と(c)は、核融合反応により生じた反応容器内部の反応ガスにつき、QMSを用いて質量分析した結果を示す図である。(b)は上記反応終了後に反応容器から試料を取出し、QMSの試料容器内で約1,300℃に加熱し、発生したガスを上記と同様に質量分析した結果を示す図である。


             トップへ戻る